花火のアナウンス [日記]
ある地方の花火大会での出来事です。
『おまたせいたしました。ただいまより、花火をうちあげます』
アナウンスが入りました。「おおっ~!」と早くもお酒が入ったオヤジの大歓声と拍手が、うねりのように堤防をゆらします。
が、すぐにまたスピーカーから呼びかけがありました。
『○○橋の下流のみなさん、これから花火を打ちあげますので、至急上流に移動してください。花火があがるのでたいへん危険です』
まわりがざわざわしました。「はあ?○○橋ってどこだい?」「ここじゃないよね?」などと、あちこちでザワザワ。
私もまわりを見まわしました。なんという名前の橋か知りませんが、ちょうど橋がそばにあるのです。
しかも、自分たちがいる場所は下流……。知人がけげんな顔で私に訊きます。
「ねえ、ここじゃない?」
私だって初めてですから知りません。
「さあ……でも、みんな動こうとしないし。たぶん地元のひとはここがそのなんとか橋じゃないって知ってるから、動かないんじゃないの?」
「ああ、そうかも」
納得したのかしないのか、知人は沈黙。ところが、アナウンスの口調はさらに神経質に。
『○○橋の下流のみなさーん、至急上流に移動してください! みなさんが移動していただかないと、花火を打ちあげられないんです! 至急移動してください。みなさん、花火を楽しみに待っていらっしゃいます。至急移動してください!』
知人がうろたえて私を見ます。
「ここじゃないよね?」
私は首をひねるしかありません。
「ここじゃないと思うけど……ここなら、そろそろ警察とか係のひとが、拡声器とかもって誘導にくるんじゃないかな……ちっともこないじゃん」
とりあえず、うなずく知人。さて、どうなるのやら。
『おまたせいたしました。ただいまより、花火をうちあげます』
アナウンスが入りました。「おおっ~!」と早くもお酒が入ったオヤジの大歓声と拍手が、うねりのように堤防をゆらします。
が、すぐにまたスピーカーから呼びかけがありました。
『○○橋の下流のみなさん、これから花火を打ちあげますので、至急上流に移動してください。花火があがるのでたいへん危険です』
まわりがざわざわしました。「はあ?○○橋ってどこだい?」「ここじゃないよね?」などと、あちこちでザワザワ。
私もまわりを見まわしました。なんという名前の橋か知りませんが、ちょうど橋がそばにあるのです。
しかも、自分たちがいる場所は下流……。知人がけげんな顔で私に訊きます。
「ねえ、ここじゃない?」
私だって初めてですから知りません。
「さあ……でも、みんな動こうとしないし。たぶん地元のひとはここがそのなんとか橋じゃないって知ってるから、動かないんじゃないの?」
「ああ、そうかも」
納得したのかしないのか、知人は沈黙。ところが、アナウンスの口調はさらに神経質に。
『○○橋の下流のみなさーん、至急上流に移動してください! みなさんが移動していただかないと、花火を打ちあげられないんです! 至急移動してください。みなさん、花火を楽しみに待っていらっしゃいます。至急移動してください!』
知人がうろたえて私を見ます。
「ここじゃないよね?」
私は首をひねるしかありません。
「ここじゃないと思うけど……ここなら、そろそろ警察とか係のひとが、拡声器とかもって誘導にくるんじゃないかな……ちっともこないじゃん」
とりあえず、うなずく知人。さて、どうなるのやら。